斎藤糧三副理事長、GQ JAPANのスペシャル・ディナー・イベントを監修す。
マンジャーレ! ケトジェニック・イタリアン!
写真=戸山温子
10月27日火曜日の夜、GQ Japanと某イタリアン・ファッション・ブランドのコラボによるケトジェニックなスペシャル・ディナーを斎藤糧三先生が監修しました。前代未聞、本邦初のそれは、一体どんな料理だったのでしょう?
GQ Japanの鈴木正文編集長(左)とJFDAの斎藤糧三副理事長。ケトジェニックダイエットに関するトークショーも開かれました。
一夜限りの健康メニュー
ケトジェニックダイエットのルールを守りつつ、グルメなイタリア料理はできるのか? 歴史的なチャレンジが一流の料理人によって実現しました。
10月27日火曜日、東京銀座の某イタリアン・レストランで、JFDA副理事長の斎藤糧三先生監修によるケトジェニックダイエットに適したスペシャル・ディナー・イベントが開催されました。男性月刊誌GQ Japanと、レストランを含む某イタリアン・ファッション・ブランドのコラボレーション企画に斎藤先生が協力して、一夜限りの健康メニューが20人のGQ読者に供されたのです。
現場を預かるスーシェフのK氏に、斎藤先生が打ち合わせで出した注文は具体的かつ厳格なものでした。
① 糖質は1食あたり20g以下に抑える。(ただし、糖質10%未満の低糖質食材はカウントしなくてよい)
② タンパク質は1日に体重1kgあたり1.2~1.6g摂取する。
赤身肉で約300〜500gが目安。100gは男性の場合、手のひら一枚分の大きさ。ミネラルやビタミン、タンパク質をバランスよく含む牧草牛がおすすめ。
③ 野菜は1日360g以上食べる。
1日3食であれば、毎食120g以上食べる。生野菜の場合、片手で山盛りに乗り切る量が約120gと覚えておく。
④ 以下は避ける。
穀物、砂糖、イモ類、でんぷん食品、粉もの、点心類、ルウを使う料理、果物、カボチャ、れんこんなどの根菜、糖質が多い日本酒やビール、紹興酒など。
低糖質、ニュージーランド産牧草牛という斎藤流の定番ケトジェニック食材に加え、今回はポリフェノール、鉄分などが豊富なアサイーやオメガ3と食物繊維たっぷりのチアシードといったスーパーフード、さらにこれまたオメガ3たっぷりのアマニオイル、中鎖脂肪酸たっぷりのココナッツオイルを使う、というイタリアンのシェフにとってはおそらく未体験の、ハードルの高い注文を出したのです。
そこで出てきたのが以下のような料理でした。
料理への期待にブースト!
アニューズ
1 ココナッツオイルとパルミジャーノのマシュマロ
2 チアシードのチップスとズワイガニ
3 ドライトマトと自家製リコッタチーズ バルサミコでマリネしたクコの実
斎藤先生もこのアミューズにはいきなり驚きました。
「1のマシュマロは、見た目はホワイトチョコ・トリュフで、でも、食べたらチーズで、これから始まる料理に対する期待をブースト!」
2のチアシードのチップスはまるでゴマのクラッカーのようで香ばしい。それと、しっとりしたカニ肉の意外な組み合わせが美味です。さらに3のドライトマトとリコッタチーズはその甘みに感激です。料理の門外漢からすれば、まさにK氏のマジックです。
鹿肉の燻製と生野菜で「森をイメージ」
次は「鹿のカルパッチョ」です。
ニュージーランド産の鹿肉と生野菜の量が半々で、ワイルドな味わいです。鹿肉は燻製にしてあります。シェフは「森をイメージした」と言っておられるそうです。筆者の印象を正直に申し上げれば、雑草を食べているような感覚。それを和らげるのがザクロです。赤い粒が見た目だけでなく、甘みとさっぱり感をもたらしてくれます。野放図な野生の味ではなくて、文明の味、計算し尽くされている感じです。
ムール貝はフランスの港町の味わい?
それから、「ムール貝と白いんげん豆のミネストラ」が出てきました。強烈なムール貝の味をいんげん豆が和らげるというか受け止めるというか。ここに戦いがあります。いや、ハーモニーを生んでいる、と表現すべきでしょう。海の香りが漂い、料理知らずの勝手な感想ですが、フランスの港町の味わいがします。アマニオイルがかかっているということですが、味はまったくわかりません。
オメガ3がリッチな牧草牛
メインは「リブアイ炭火焼と季節野菜のロースト」です。ニュージーランドのプレミアム牧草牛”Reseve”を200g使っています。太っ腹です。「牧草で99%飼育されているニュージーランドの牛さんはオメガ3がリッチ」と斎藤先生は言います。赤身肉なので肉汁はさほど出ません。ところが、ここで斎藤先生が用意したミネラルたっぷりの塩が効果を発揮します。「スーパーフードの老舗Sunfood社が作っているカラハリ・ソルト(カラハリ砂漠の塩)は、知っているお塩の中で肉の味がもっとも引き立つ」。ご自宅の塩はすべてこの塩に替えたそうです。
塩と牛肉と赤ワインの見事なマリアージュでした!
昔からあったみたいだけれど、普通には食べられない
肉でタンパク質を充実させた後の、デザートは「ココナッツのプディングとパパイア」です。パパイアの下に敷いてあるのがココナッツミルクとチアシードを使ったプディングです。ココナッツミルクの中鎖脂肪酸は肝臓でケトン体につくり変えられます。チアシードに含まれているオメガ3は脳梗塞、心筋梗塞、認知症の予防にも効果があると言われています。
このデザートは甘くて、ケトジェニックダイエットだとはにわかに信じられないほどです。「本邦初公開です。昔からあったみたいですが、普通には一切食べられません」と斎藤先生も興奮を隠しきれません。砂糖などの甘味料を一切使っていないのに、甘くて美味しい。しかも食感が面白いのです。
非常に美味しかったですね〜
食後に、GQの鈴木正文編集長(写真左)こんな感想を語りました。
「美味しかったですね〜。最後の牛肉はたぶん低温調理しているのでしょう。65度で止めている。だから赤いのに柔らかい。ムール貝も繊細に火が入っていて、ホタテみたいな甘みもあって、非常に美味しかったですね。鹿のカルパッチョも美味しかった」
今回の一夜限りのスペシャル・イベントは某イタリアのファッション・ブランドとGQとのコラボによるもの、と冒頭に記しました。某ブランドの創業者は1970年代にスーツの甲冑性を脱構築して、ソフトスーツをつくりました。だから、このブランドを着る人はワークアウトしないといけない。ギリシャ的身体、あるいはギリシャ的身体を求めたルネッサンス期に戻れ、と言っているわけです、というような内容のことを鈴木編集長は言いました。
「食事と生活習慣を変えれば、体を謳歌できる。ぜひみなさん、ケトジェニックダイエットに挑戦してみてください」と編集長は締めくくりました。
医者の不養生だった斎藤先生は最近、本格的にケトジェニックダイエットに取り組んでいて、18kg痩せたそうです。おかげで20年前に買ったアルマーニのジャケットが着られるようになりました。
最後に斎藤先生のこの夜の料理の感想です。
「鹿肉のカルパッチョは、アマニオイルふんだんにつかい、ゴジベリー(クコの実)のパウダーが料理と調和しているのはビックリ。牧草牛のステーキの火入れはいうにおよばず、粒マスタードにもアマニオイルを使用するところが心憎い。最後のデザートも、ココナッツミルクのピナコラーダ風という(某イタリアン・レストランの)スペシャリテをチアシードなどのスーパーフードでさらに進化をさせた。あたかも定番デザートの様に完成されていました。
デザートの総糖質量は11.4g(甜菜糖6.4g)にとどめているのに、ちゃんとスイーツしている。そのほかは、低糖質食材(糖質が10g以下の食材)で構成されている。ケト検をこっそり受講したんじゃないか? と思うくらい(笑)。豪華で美味しいイタリアンでしたが、みなさん、ケトジェニックになります!」







